「高い豆を使ってるのに…」その違和感、グラインダーかもしれません

こんにちは!サンマルコの毛利です。
カフェを開業して、エスプレッソをメインに出していきたい。
そう考えている方にとって、「グラインダー選び」は意外と見落としがちなポイントかもしれません。
でも実は、どれだけ高性能なマシンを導入しても、どれだけ質のいい豆を使っても、
「挽き目」が合っていなければ、そのポテンシャルは十分に引き出せません。
というわけで今回のテーマは、
「グラインダーこそ命!」
挽き目が味に与える影響や、業務用グラインダーと家庭用グラインダーの違いについてお話ししていきます。
Contents
なぜグラインダーが“命”なのか?
以前もお伝えしましたが、ある有名な日本人バリスタの方が、こんなことをおっしゃっていました。
「エスプレッソの味は、豆が5割、マシンが2.5割、バリスタが2.5割」
つまり、豆のポテンシャルを活かすには、マシンとバリスタの力が欠かせないということ。
豆・マシン・バリスタ…この三角関係がこじれると、味もこじれます。人間と一緒です。
その中でも「挽き目の調整」は、バリスタの大事な仕事のひとつです。
たとえば、
同じ豆を同じマシンで抽出しても、挽き目が細かすぎるとお湯の通りが悪くなって「過抽出」になり、
苦味が強く、ざらついたような口当たりになります。
逆に、挽き目が粗すぎるとお湯がすぐ通ってしまい、香りやコクのない水っぽい味になってしまいます。
たった0.1mmの違いが、味に大きな影響を与えるのがエスプレッソなんです。
さらに、
グラインダーの性能が悪いと「微粉(細かすぎる粉)」と「粗粉(大きな粒)」が混ざってしまい、抽出が不安定になります。
これがいわゆる“バランスの崩れた味”を生む原因にもなるんですね。
挽き目の「ズレ」で起きる、味のブレ
「なんか今日はいつもより味がぼやけてるな…」
「クレマが薄くて、香りも弱い気がする…」
そんな時、まず見直したいのが「グラインダーの設定」です。
コーヒー豆は、果実の種子。
つまりナマモノです。
したがって、挽き目は気温や湿度、豆の焙煎度合いによっても微妙に変える必要があります。
同じ設定でも、夏と冬では抽出にかかる時間がズレることもあるし、朝と夜で味が違う、なんてこともあります。
プロのバリスタは、1日のはじまりに必ず「テストショット」を打ち、味や抽出時間をチェックしてから本番に入ります。
それだけ「挽き目の調整」が繊細な作業だということですね。
また、豆の鮮度が落ちてきた場合にも、抽出にかかる時間が変わることがあります。
そのときも、グラインダー側でしっかり調整してあげることが大切なんです。
日々の小さな調整が、1杯の味の安定感に繋がっていく。
そんな地道な努力の積み重ねが、信頼されるカフェづくりには欠かせません。
家庭用と業務用、グラインダーの決定的な違い
ここで気になるのが、業務用と家庭用のグラインダーの違いです。
一見するとどれも似たように見えますが、実は味の安定性に大きな差があります。
【耐久性】
業務用グラインダーは、1日に何十杯、何百杯と抽出しても壊れない設計。
一方、家庭用は使用頻度を低めに想定してつくられているため、連続使用にはあまり向いていません。
【粒度の一貫性】
業務用はバリ(刃)の直径が大きく、モーターの力も強いため、粒の揃い方が安定しています。
粒度にバラつきがあると、抽出中に「チャネル(偏った水の通り道)」ができ、味が崩れてしまいます。
【粉残りの量】
家庭用は構造上、挽いた粉が中に残りやすいタイプも多く、次に挽く粉と混ざってしまうことも。
業務用は「粉残りが少ない」構造になっており、再現性のある味づくりが可能です。
【熱の影響】
長時間使用するとモーターやバリが熱を持ちますが、業務用は冷却設計がされており、熱ダレによる品質劣化を防げます。
また、業務用グラインダーには「タイマー設定」「自動計量」「ダブルホッパー」など、現場での作業効率を高める機能も豊富です。
【供給方式】
粉を一時的に溜めておけるチャンバー式は、提供数が多い店舗に向いています。スピード重視の現場では効率が良く、ピーク時の連続抽出でも活躍します。
一方、オンデマンド式は都度挽きで鮮度重視。少量・高品質を追求したいお店に適しています。
一人営業のカフェでは、こうした機能が地味に効いてくるんですよね。
このように、業務用グラインダーには「安定した味」を出すための工夫がたくさん詰まっているんですね。
豆を活かすも殺すも「挽き」がすべて
せっかく良い豆を使っていても、挽き目が合っていなければ、その魅力は半減してしまいます。
逆に、毎日使う豆の特性を理解し、ベストな挽き目を見つけてあげることで、同じ豆でも驚くほど美味しさが引き立ちます。
豆の「香り」「酸味」「甘み」「ボディ感」。
それらをどう引き出すかは、グラインダーの性能と調整にかかっていると言っても過言ではありません。
たとえば、浅煎りの豆は香りが豊かで酸味が出やすいため、細かめに挽いてゆっくり抽出することで繊細な風味を表現できます。
一方で深煎りは、やや粗めに挽いてバランスの取れた苦味を引き出す、というアプローチも有効です。
味が決まらないとき、「マシンのせいかも?」と思う前に、まず「挽き目のズレ」を疑ってみてください。
それくらい、エスプレッソにおいてはグラインダーが重要な存在なのです。
サンマルコのマシンとの相性と、導入時のおすすめ
サンマルコのエスプレッソマシンは、温度と圧力の安定性に定評があります。
その力を最大限に引き出すには、やはり「相性の良いグラインダー」と組み合わせるのが一番です。
特におすすめなのが、挽き目の微調整がしやすく、粉残りが少ない設計のグラインダー。
豆の味を安定して引き出すためには、「マシンとグラインダーの連携」がとても大切になります。
また、サンマルコの一部モデルは、挽きたての粉をそのままポルタフィルターに均等に詰めやすい設計になっているため、粉だまりや偏りを防ぎやすいです。
こうした細かい部分の連携が、味の再現性につながっていくんですね。
サンマルコでは、導入前の相談や抽出トレーニングにも対応しています。
「この豆に、このグラインダーとこのマシンを合わせたら、こんな味になりますよ」
というところまでサポートさせていただきますので、ぜひお気軽にご相談くださいね。
まとめ|“粉”の精度が、味の未来を決める
今回は、挽き目と味の関係、そしてグラインダーの重要性についてお話ししました。
グラインダーは、コーヒーの味づくりにおける「影の主役」です。
少し地味な存在に見えるかもしれませんが、実はマシンと同じくらい、いや、それ以上に大切な存在と言えるかもしれません。
「いい豆を使ってるのに、味が安定しない…」
そんな悩みを抱えるカフェオーナーさんは、ぜひ一度グラインダーを見直してみてください。
それだけで味のブレが解消されることも多いんです。
カフェ開業を考えている方は、マシンだけでなく、ぜひグラインダーにも注目してみてください。
「いい豆」「いいマシン」「いいグラインダー」
この三種の神器が揃ったとき、あなたのカフェの味は、一気に安定して輝き出しますよ!
それでは、また次回もお楽しみに。
サンマルコの毛利でした。
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