ラテアートの落とし穴!9割がやりがちな「味を損なうNG行動」3選と改善策

こんにちは!サンマルコの毛利です。
最近、ラテアートに関心を持つ方がますます増えていますね。お店のSNS映えを狙ったり、独自のアレンジに挑戦する方も多いと感じます。
しかし、その一方で「ラテアートのために味を犠牲にしてしまう」「本来のエスプレッソの良さを損ねてしまう」ケースも少なくありません。
そこで今回のテーマは「ラテアートNG集3選」。
9割の人が間違えがちとも言われる内容をまとめました。
私自身がバリスタさんとお話しする中で気づいたものなので新しい知識になると思うのですが…あくまでも「やってはいけない絶対のルール」というより、「味・衛生・クオリティ」を最大限に高めるために気をつけたいポイントとして整理しています。
とくにカフェ開業を目指す方には、お客様に「おいしいラテアート」を提供するためのヒントになれば嬉しいです。
Contents
1. カップを「ベタ持ち」してしまう問題
温度低下と衛生面
最初にご紹介したいのは、ラテアートを注ぐときにカップを外側からベタッと握る行為。これ、意外とやってしまいがちなんです。
お客様と話していても「アートしやすいように、しっかりカップを押さえたい!」という気持ちはよく耳にします。私がラテアートに挑戦する際にも、無意識に、手全体でカップをホールドしてしまった経験があります。
しかし、プロのバリスタさんに言わせると、これはあまり好ましくない。
・温度低下を招きやすい
・衛生面でも好ましくない
というんですね。
カップの外側に手で長時間触れていると、体温によってコーヒーの温度が下がりやすくなります。また、指先などから余計な汚れや油分が付着する可能性もあるのです。
せっかく抽出したてのエスプレッソとスチームミルクを使うのに、自分の手のせいで温度が下がってしまったらもったいないですよね。
ラテアートの対処法
だからといって「絶対に外側を持ったらいけない」というわけではありません。
一番おすすめの持ち方は、カップの耳(ハンドル)を使うこと。耳が小さい場合もありますが、そこで上手く指先をかけて支えると、過度にカップ全体に触れることなくアートができます。
アートしづらいと感じる方は、ラテアート用の専用カップや、持ち手が大きめのカップを選ぶなど、器そのものを工夫するのもアリですね!
また、特に開業を目指す方に知っていただきたいポイントを1つ。
衛生面や接客の観点から見ても、スタッフが素手でカップ表面を長時間ベタベタと触るのは、お客様にとってあまり気持ちの良いものではないかもしれません。
おいしさはもちろん、大切なお客様への「おもてなし」の気持ちを大事にするうえで、持ち方ひとつにも配慮していただけたら嬉しいです。
2. クレマを「崩して」しまう問題
クレマはエスプレッソだけの特権
次のNGポイントは、エスプレッソのクレマをあえて崩してしまうこと。
ラテアートの世界ではクレマをぐるぐるとスプーンやスティックで混ぜる方がいるんですね。
「きれいな線を描きたいから、まずは表面をならしておきたい」などの背景があることは理解しています。
ラテアートの描きやすさを優先したい気持ちはわかりますが、クレマはエスプレッソならではの揮発性オイル成分の塊。ここに香りや旨みがギュッと詰まっているんです…!
エスプレッソは高圧抽出によって生まれる特別なコーヒー。他の抽出方法(ドリップコーヒーなど)ではなかなか出ない「クレマ」という泡状の層があります。
これをわざわざ崩してしまうのは、香りの立ち方を損ねたり、独特の口あたりを薄めたりする行為とも言えます。
書きやすさ優先>味 にならないように
もちろん、ラテアートの見た目を重視することが悪いとは思いません。それが人気でお客様が来店される、ということも大いにありえるでしょう。
しかし、カフェビジネスで大切な軸になるのは「お客様が飲んでおいしいかどうか」。
とくにエスプレッソは一杯あたりの量が少なく、クレマを含めてすべての要素が凝縮しています。その核心となるクレマを崩すということは、「飲むときの香りと味」を自ら放棄しかねないのです。
できるだけクレマを崩さずに、アートを描く練習をしてみましょう。
ラテアートの上達に時間はかかるかもしれませんが、味のクオリティを損なわないトレーニングこそが、お客様に感動を与える「飲めるアート」につながります。
3. ミルクを注ぐ前に「グルグル回しすぎる」問題
分離を促してしまうリスク
ラスト3つ目のポイントです。結論、ミルクピッチャーのスチーム後、やたらとグルグル回してしまう行為です。
ラテアート講座などで「ミルクの表面をツヤツヤにするために回す」と教えるケースもあるのですが、回しすぎるのはおすすめしません。
・逆にミルクと泡が分離しやすくなる
・最終的に味がバラバラになる
こんな懸念があるからです。
とある世界ラテアート選手権のファイナリストの方は、ピッチャーの中でミルクをサッと整えたら、あとはあまり回さずに一気に注ぎ始めます。
むしろ、力強くストンと落としてフォームミルクをカップに流し込むことで、リーフやハートの形を整えつつ、味の一体感をキープできるということなんですよね〜。
「飲めるアート」を目指して
私自身もピッチャーをグルグル回してしまう癖があったので、余計に沁みるのですが(笑)ある意味、希望でもあります。
というのも、少し注意するだけで明らかにラテアートの口当たりが変わったんですね。
フォームミルクと液体のミルクがしっかり混ざり合った状態で注げるので、コーヒーとミルクの融合具合が安定するんですよね。
しつこいようですが、見た目のデザインは大事です。
その上で、最終的にはお客様が一口飲んだ瞬間に「うわっ、まろやか!」と思ってもらえるかどうかが大事だと感じます。
「飲むためのラテアート」が提供できれば最高
ここまで3つのNG例をご紹介しましたが、いずれも「カフェ開業を目指す人こそ気をつけてほしい」点ばかりです。
SNSで映えるおしゃれなラテアートも素敵ですが、エスプレッソの持つ繊細な味を最大限に活かすとなると、今回挙げたような小さなポイントこそ大きな差を生み出します。
❶持ち方:ベタ持ちではなく、カップの耳を上手に使う
❷クレマ:崩さずに、エスプレッソの香りと味わいを大切に
❸ミルク注ぎ:必要以上にグルグル回さず、味の一体感を優先
ラテアートは、あくまで最終仕上げの技術。
大前提として、ベースとなるエスプレッソの抽出やミルクのスチーミングがしっかりできていることが重要です。
だからこそラテアートを練習する際も「味のバランスを崩さない」ことを常に意識してみてください。
結果的に「飲めるアート」、つまり見た目も味も素晴らしいラテを提供できるようになるはずです!
本物のラテアートを提供できる人は一握り
今回お伝えした3つのポイントを意識しながら練習していただくと、人気のラテアートがつくりやすくなります。
まず「見た目はそこそこだけど、味はとびきり美味しい」というラテが作りやすくなる。
その上で徐々にアートの精度を高めていけば、ビジュアルと味の両方が素晴らしい「一杯」を提供できるようになるはずです。
私、毛利も日々学び続けていますが、エスプレッソの世界は本当に奥が深い!
ラテアートもそうです。「ラテアート=味の犠牲がつきもの」という考え方は、もはや過去のものだと感じています。
世界クラスのラテアーティストは、実際にアートの美しさと味の良さを両立させているのです。
あなたもぜひ、カフェ開業の準備を進める中で、ラテアートの技術だけでなく味の追求にも力を注いでください。
きっとお客様に喜ばれる最高のコーヒー体験を提供できるはずです。
それでは今回も最後までお読みいただきありがとうございました。
サンマルコの日本正規代理店である我々からは、エスプレッソマシンに関する情報や、抽出技術のポイントなども継続的に発信していきます。
カフェ開業を目指す方にとって、少しでも役立つヒントになれば嬉しいです。
それでは、また次の記事で!
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