本場のエスプレッソ知識|5種類以上の豆をブレンドするって本当?!

こんにちは!サンマルコの毛利です。
私は日々、エスプレッソについて学び続けており、その過程でいろいろなバリスタさんや専門家から様々な知見を得ています。
今回のテーマは、私が特に面白いと感じたテーマ。
「イタリアでは“最低5種類以上の豆をブレンドしてはじめてエスプレッソと呼ぶ”という考え方」について書いてみたいと思います。
あたらしい視点があるといろいろ試せるので、美味しいコーヒーを提供しやすくなります。エスプレッソ好きは要チェックです!
Contents
イタリアでは「5種類以上」を1つの基準とする理由
イタリアのカフェ文化に触れる中で、私が学んだのは「少なくとも5種類以上の豆をブレンドしてはじめて“エスプレッソ”と名乗る」という考え方が根強い、ということ。
もちろん、これは法律や公的な規格ではありません。イタリア国内で昔から培われてきた「文化」に近いものです。
・なぜ5種類以上の豆をブレンドするのか?
結論として「複数の豆を組み合わせることで、それぞれの長所や香り、コク、酸味、苦味などを補い合い、深みある味わいを引き出すため」なんですね。
イタリアではカフェ(Bar)文化が日常に根付いています。人々が1日に何度もバールに立ち寄り、気軽にエスプレッソを飲むため、安定して飽きのこない味わいが求められます。
その安定感を生む鍵が、多種多様な豆を複雑にブレンドする手法なのです。
私が見せてもらったブレンド例では、なんと7種類もの豆を組み合わせていました。これは驚愕、、!
はじめは「そんなに!?」と感じました、さすがに。
実際に味見をしてみると、一口飲むたびに違ったコクが広がり、とても奥行きのある味わいを感じます。
もしかすると、「シングルオリジンの個性が際立つコーヒーが好き」という方も多いかもしれません。
もちろんその考え方もOK!しかし、イタリア式のブレンドには、単一銘柄では表現しきれない「まろやかさ」が共存しているのです。
日本でエスプレッソが浸透しにくい理由
ブラックで飲むから苦い
私自身も最初はそうでしたが、日本ではエスプレッソに対して勘違いされていることが多いです。
「苦い」「濃い」「カフェインが強そう」「量が少ないのに値段が高い」「酸味が際立ちすぎる場合もある」などなど。
実際、お客さまと話をしても、この5つを理由にエスプレッソを敬遠する人は少なくありません。
一方、イタリアではエスプレッソに砂糖を加えるのが一般的。
本場のバリスタさんのお話では、今でも8割以上の人が砂糖を入れて飲むそうです。
イタリア式の正攻法は「適量の砂糖で味を引き立たせる」んですね。これにはエスプレッソが持つコクや香りを一層際立たせる効果がある。
私もその飲み方を真似してみたところ、「あ、これなら美味しく飲める…!」という感動がありました。
スピードも大事なのが本場
エスプレッソ(Espresso)の語源が「エクスプレス(Express)」だと言われたりします。コーヒー好きならご存知かもしれませんね。
イタリア語の「esprimere(押し出す)」が語源とされることもあり諸説ありますが…
実際、イタリア式のカフェ文化では、抽出が始まってから30秒以内にお客さんの手に届くことを重視しているそうです。
その内訳は、
・抽出時間が約25秒
・すぐにお客さんへ渡すための5秒
長く置いておくと酸化が進み、香りや風味が損なわれてしまうからです。
そのため、現地のカフェでは基本的に「立ち飲み」が多い。ササッと注文して、キュッと飲んで、さっとお会計を済ませる。日本の喫茶店のように長居する感じではないんですよね。
こうしたスピード感や気軽さが、エスプレッソの本来の姿と言えるでしょう。
豆・マシン・バリスタの三位一体
いろんな専門家やベテランバリスタさんの意見を聞く中で、私自身も「豆・マシン・バリスタ」の三要素が大切だということを再認識しています。
・豆:イタリアでは、エスプレッソ向けに焙煎・ブレンドした豆を複数用意するのが当たり前。先述の通り5種類以上を巧みに組み合わせます。
・マシン:イタリアの老舗メーカーや人気ブランドのエスプレッソマシンは、日本でも数多く輸入されています。高い圧力を安定して出せることや温度管理の精度が、美味しい一杯を支えています。
・バリスタ:いくら上質な豆と高性能マシンがあっても、最後の仕上げを担うバリスタの技術が不十分だと台無し。逆にバリスタの腕が高くても、豆やマシンの質が悪いと100点のエスプレッソは難しい。
この三位一体をうまく組み合わせることで、初めて安定した味わいとクオリティの高いエスプレッソが実現するわけです。
エスプレッソの意外な可能性
さて、真面目な話が続いたのでちょっとした豆知識を2つほど。
健康効果やスポーツ選手からの注目
私自身が勉強を重ねるうちに驚いたのは、エスプレッソに潜む健康効果の大きさです。
例えば、適量のカフェインには血流を良くし、頭の回転を活性化させる作用があります。食後に飲むと胃酸の分泌を促してくれる。これが消化を助けたり、肌を整える作用も期待できます。
最近はスポーツ選手や美容業界からも注目されているようで、イタリアでは「エスプレッソをうまく取り入れるとパフォーマンスが上がる」といった実例も耳にします。
もちろん過剰摂取は禁物ですが、上手に日常に取り入れることでメリットが得られるのが魅力です。
料理に使う!新しいエスプレッソレシピ
そして私がいろんなバリスタさんやシェフと話すなかで学んだのが、エスプレッソが「飲む」だけにとどまらないという点です。
料理の素材として活用する事例も数多く存在していて、前菜からメイン、デザートに至るまで使い道は多彩。
抽出後のコーヒーカスさえも乾燥させて生地に混ぜ込んだり、ソースの隠し味に使うことで香りやコクをプラスできるそうです(!)
実際に私も試してみましたが、粉の状態では独特の苦味が出すぎることもあります。ただ、上手に使えば「深みを与えるスパイス」のように機能してくれるんですよね。
レストランやカフェでエスプレッソマシンがあるなら、こうしたサイドメニューへの活用も含めてトータルでエスプレッソを楽しむ提案ができると思います。
エスプレッソはカフェ開業を目指す人の味方です
イタリア式ブレンドの強みを体感しよう
もしこれからカフェを開業しようと考えている方がいるなら、ぜひ「イタリア式エスプレッソ」と「5種類以上の豆を使ったブレンド」を試してみてください。
特に、イタリア式ブレンドは味の安定感が非常に高いのが特徴。
単一品種だと収穫時期や焙煎度合いによって味のブレが大きく出ますが、複数ブレンドの場合は、ある程度のバラつきを相殺し、総合的なバランスをとりやすくなります。
また、エスプレッソベースのドリンクやメニュー(カプチーノ、カフェラテ、マキアートなど)のバリエーションも増やしやすいのが大きなメリット。
アレンジを加えることで、多様な客層にアピールできますよ。
日本で「本物のエスプレッソ」がもっと増えてほしい
私が勉強していく中で、イベントなどで試飲提供をすると「こんなに美味しいなら、もっと身近に飲みたい!」という声を頻繁にいただきます。
先日もサンマルコのショールームにお客さんが来店された際、「実はコーヒーが苦手なんです…」という方も同行されていたのですが、私が提供したエスプレッソを飲んでびっくり。
これなら毎日飲みたい!と、おっしゃっていました。
実際、エスプレッソマシンが日本国内にかなり普及しているのに、現地レベルの味がどこでも楽しめるかというと、まだまだその数は限られています。
そのギャップを埋めるには、焙煎の技術を高めるセミナーだったり、あるいは情報共有の場をもっと増やす必要があるだろうと感じています。
お客様側も「エスプレッソって実はこういうものなんだ!」と知識を得ることで、飲み方や楽しみ方がガラリと変わるはず。
カフェ開業を目指す皆さんが、イタリア式のブレンドや抽出方法を導入することで、その機会を提供できるなら素敵なことですよね!
ブレンドは「味の安定と多様性」のカギ
今回のテーマ「イタリアでは最低5種類以上の豆をブレンドしてはじめてエスプレッソと呼ぶ」というのは、単純な決まりごとではありません。
「複数の魅力を掛け合わせて最高の味を生む」というイタリア人のコーヒー観を象徴していると感じます。
濃い、苦い、量が少ない…といったマイナス要素も、砂糖を一つまみ加えるだけで不思議なほどバランスが良くなる。その一杯を30秒以内で提供するからこそ「エスプレッソ」という名がふさわしいし、日常の一部として愛され続けているのでしょう。
カフェを開業する皆さんには、ぜひ「イタリア式ブレンド」の強みを一度体感してみてほしいと思います。
技術をさらに磨けば、エスプレッソは単なる「コーヒーの一種」にとどまらず、料理やスイーツとのコラボレーションを通じて大きな可能性を秘めた存在になります。
味の奥深さだけでなく、ヘルシーさや日常使いの利便性。あなたがコーヒーを愛していることのストーリーにもなります。これらをお客様に提案できるお店は、きっと大きな魅力を放つはずです。
私も勉強を続けながら、こうしたエスプレッソに関する発信をしていきます。みなさんと一緒に、あたらしいエスプレッソ文化をもっと盛り上げていければ嬉しいです。
では、今回も最後までお読みいただきありがとうございました!Buono!(このタイミングで使う言葉ではないのか…)
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