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「水っぽいラテ」から卒業!美味しいラテアートの真実とは

こんにちは!サンマルコの毛利です。
多くの方にエスプレッソやコーヒーの魅力をお伝えするべく今日もブログ記事を書きたいと思います。
特に最近は、カフェ開業を目指す方々からご相談を受ける機会も増え、その熱意に私自身も刺激を受けています。
これは素直に嬉しい!

さて、今日のテーマはラテアートです。

美しいラテアートは、お客様を魅了し、お店の顔ともなり得る素晴らしい技術です。

しかし、です。

カフェ開業を目指す皆さんに、そして既にラテアートを追求しているバリスタの方々にも。
私が常々感じている「これだけは言わせてほしい!」ということをお伝えしたいと思います。

蒸気って、結局「水分」なんですよ

結論、スチームミルクの「質」と、それがコーヒー全体の味わいに与える影響についてです。

まず、基本的なことからお話ししましょう。
エスプレッソマシンのスチームノズルから出る蒸気。あれは一体何でしょうか?

そう、「水分」なのです。シンプルに高温の水蒸気。

ちょっと実験してみると、わかりやすいかもしれません。
お手元に空のカップを用意して、スチームノズルから蒸気を出してみてください。

5秒ほどスチームを出してから、カップの底を見てください。
どれだけの水が溜まりましたか?思った以上でしょう?

もしイメージができなかった場合はこちらをご覧ください。
私たちのインスタでも解説をしています。

ご覧のとおり、5秒でこれだけ水が入るんです。
この事実を、私たちはスチーミングの際にもっともっと真剣に受け止める必要があります。

ミルクスチーミングと加水量の関係

では、この「水分」が、実際の一杯のラテにどれほど影響を与えるのか?

一般的な業務用エスプレッソマシンを使って、ミルクを適温とされる65℃程度に温めるとしましょう。

この場合、スチーミングにかかる時間は、平均して20秒から25秒くらいになることが多いはずです。
(スチーム圧がおよそ1.2~1.3bar程度のドライスチームで、1秒あたり1.1~1.3gの水分が加わるマシンを想定)

仮に25秒かかったとします。
先ほどの計算でいくと、ミルクにはどれだけの水分が加わることになるでしょうか?

単純計算でも、かなりの量の水がミルクに加えられているんですね〜。

具体的には、ミルク量に対して約10%もの水分が混入することも珍しくありません。

・180mlのミルクを使ったとしたら
・18mlの水が余計に入ってしまう

つまり「小さじ3杯分以上の水」です。

この数字を聞いて、皆さんはどう思われますか?

「水っぽいカフェラテ」にご注意を

「ラテアートがオシャレなお店のカフェラテを飲んだんだけど、なんだか後半、味が薄くて水っぽく感じたんだよね…」

こんな経験、あるいはこんなお客様の声を聞いたことはありませんか?

それは、まさにこのスチーミングによる「加水」が原因である可能性が高いのです。

ミルク本来の甘みやコク、エスプレッソとの絶妙なバランス。

それらが、過度な水分によって希釈され、ぼやけた味わいになってしまう。

どんなに美しいアートを描いても、ベースとなるラテが水っぽくて美味しくなければ、お客様は満足してくれるでしょうか?
リピーターになってくれるでしょうか?

私は、そこに大きな疑問を感じています。

 

私たちが目指すべきは「短時間での高品質スチーミング」

では、どうすれば良いのか?答えはシンプルです。

「いかに強く、短時間で、理想的な泡を立てるか」

これに尽きます。

参考までに、先日バリスタの方に伺った目安では「目標とする温度まで大体14秒」で仕上げることを目指しているとのことでした。

一般的な25秒と比較して、約10秒短いんですよね〜。

この10秒の差が、どれだけミルクの味わいを守るかは想像に難くないでしょう。

もちろん、これはただ急いでいるわけではありません。

・ミルクへの加水量を最小限に抑え
・ミルク本来の風味を最大限に引き出す

エスプレッソとの完璧なバランスを実現するための、計算された技術なのです。

そのためにはスチーム圧が安定して高く、ドライな蒸気(水分量の少ない蒸気)を供給できるエスプレッソマシンの選定も極めて重要になります。

良いマシンは、この「短時間勝負」を強力にサポートしてくれます。ここは、サンマルコのエスプレッソマシンをおすすめできる理由でもあります!

 

ラテアートが上手い=美味しいコーヒーではない

そして、ここが私が一番言いたかったこと。

「ラテアートが上手いお店 イコール 美味しいお店…とは、限らないんですよ」

…言っちゃいましたね(笑)

でも、これが現実だと私は思っています。

高い技術で美しいラテアートを提供し、かつ、コーヒーそのものの味も素晴らしいお店はたくさんあります。それは本当に尊敬すべきことです。

しかし、もしラテアートの複雑さや見た目の派手さを追求するあまり、スチーミング時間が長引き、結果として水っぽいラテを提供してしまっているとしたら…それは本末転倒だとも思うのです。

お客様は、まず「美味しいコーヒー」を飲みに来ますから。

その上で、美しいラテアートがあれば喜びは倍増するでしょうが、順番を間違えてはいけません。

カフェ開業を目指す皆さんへ

これからカフェを開業しようと考えている皆さん。
エスプレッソマシンの選定、豆の選定、内装、メニュー構成…考えることは山ほどあると思います。

その中で、ぜひ「スチーミング技術」と「ミルクの質」にも、最大限の注意を払ってください。

・高出力でドライなスチームが出るマシンを選ぶこと。
・短時間で最適な状態のフォームミルクを作る練習を徹底すること。
・常に「加水量」を意識し、それを最小限に抑える努力をすること。

これらは美味しいラテを提供し、お客様に感動を与えるための大切なポイントです。

ラテアートは、あくまで美味しい一杯のコーヒーがあってこそ、その魅力が最大限に輝きます。
見た目のインパクトだけでなく、一口飲んだ瞬間の「美味しい!」という感動を一緒に追求し続けていきましょう。

それがお客様を笑顔にし、あなたのお店を地域で長く愛される特別な場所にする。そのための一番の近道だと私は信じています。

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