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エスプレッソが変わる!イタリアの水質と日本の違い、味と抽出の最適解

イタリアと日本の水質を“硬度・pH・TDS”で比較。
味と抽出への影響、家庭と店舗の調整法、スケール対策まで一気読み!

 

イタリアの水質と日本の違い:ざっくり地図

イタリアは石灰岩土壌が多くて硬度が上がりやすいエリアが目立つ。
一方でアルプスの雪解け水系は比較的おだやかで、ボトル水も“硬め”から“軽め”まで幅が広い。
日本は山系の軟水優勢で、都市部の水道水も軟~中程度が主流。
つまり「イタリア=硬め、日本=軟め」が大枠の図だ。
硬度は味のボディと抽出効率に直結、pHは酸の感じ方、TDSは味の密度や一体感に絡む。
旅行先で味が“濃いのに締まる”と感じるのは、水のミネラル設計が違うから、というケースが多い。

旅先バールでの体感ポイント

ローマ以南は硬度しっかりの傾向、北はやや穏やか寄り。
ボトル水のラベルでCaとMgをチェックすると傾向が読める。
味の芯が太いのは水の寄与が大きい。

味と抽出に効く指標:硬度・pH・TDSの読み方

硬度は主にCaとMgの合算で、抽出の“つかみ”を強める役。高すぎると渋みや鈍重感、低すぎると薄く頼りない印象。
pHは中性近辺で落ち着きを作り、酸性側に振れるとシャープ、アルカリ側に寄ると平板に感じやすい。
TDSは総溶解固形物で、数が上がるほど味は密になりやすいが、行き過ぎると重たさが先行。指標は独立して見ず、セットで捉えるのがコツ。
イタリアの一杯が“短いのに満足”なのは、硬度とアルカリ度のバランスが作る甘苦の結束が効いている、という解釈がしっくりくる。

“数字の罠”に注意

同じTDSでもミネラル内訳で味の出方は変わる。
硬度=良い/悪いで語らず、Ca:Mg比やアルカリ度も一緒に見ると判断がブレなくなる。

エスプレッソの最適解:水の“バランス設計”

業界の一般的な目安だと、硬度は中程度、pHはおおむね中性域、TDSは中庸レンジが扱いやすい。
これでクレマは安定し、ボディは出つつ過抽出の角も立ちにくい。
イタリアの深煎り寄りでも、砂糖とぶつけたときに甘苦が揃って“収まりがいい”。
日本の軟水でそのまま行くとキレは出るが痩せやすいので、ミネラルを少し足して粘度と甘さの芯を作ると一気に“バール感”に近づく。
逆に硬度が強すぎる現場は、アルカリ度を抑え気味にして渋みの出方を整えると、抽出全体が素直になる。

ざっくり目安レンジ(一般論)

硬度は中域、アルカリ度は低〜中域、pHは中性付近、TDSは中域を狙うと安定。極端な数値は避け、焙煎と配合で微調整するのが王道。

家・店舗での水調整:フィルターとミネラルの実践

家庭ならブリタ等のカートリッジで塩素と一部ミネラルを整え、必要ならミネラル添加水を少量ブレンドして“中域”へ寄せる。
店舗ならカートリッジ+バイパス調整、あるいは混床樹脂で硬度コントロール、エリア次第で逆浸透(RO)+リミネラライズという構成が現実的。
ポイントは“全部抜く→少し戻す”ではなく、マシンと焙煎の目線で味とスケールの折り合いをつけること。
抽出圧や温度の安定度が高いほど、水の微差は味にまっすぐ効く。
だからこそレシピと同列に“水のプリセット”を持っておく価値がある。

家向けの簡易ブレンド

軟水をベースに、ミネラルウォーターを1〜3割ミックスで“甘さの芯”を作る。
濃く重たいなら比率を下げ、痩せるなら少し上げる、の反復で決める。

店舗向けの現実解

原水の硬度を測ってからカートリッジのバイパス率を調整。
月次で数値ログを残し、味の変化と紐づける。人ではなく“設定”で安定させるのがプロの近道。

調整時のチェック項目

  • ・抽出時間と液量の再現性
  • ・クレマの密度と色調
  • ・ショット後半の渋みの出方
  • ・砂糖投入後の甘さの伸び
  • ・マシンのスケール発生ペース

要点まとめ:上の5項目は“水→抽出→味→設備”を一本でつなぐ監視線。
抽出時間と液量が揺れなければ、味の変動は水か粉に寄る可能性が高い。
クレマの質と後半の渋みは硬度とアルカリ度のバランスに敏感。
砂糖を入れたあとの甘さの伸びは、ミネラル設計が甘苦を束ねているかのリトマス紙。
最後にスケールの進み具合を設備側で観察すれば、味と耐用の両輪が噛み合う。数値は地図、最終判断はカップの中だ。

スケール対策とメンテ:マシンを守る運用指針

硬度が高い水はヒーターやボイラーに炭酸カルシウムのスケールを育てやすい。
放置すると熱伝達が落ち、温度ムラ→味ムラ→故障リスクの悪循環。対策は二段構え。
入口で“水を整える”、内部で“定期の洗浄・除去”を回す。
清掃はバックフラッシュ、シャワースクリーン、ガスケットの油分汚れを日次で落とし、スチームラインはミルク石灰化を防ぐ。
除石灰は機種の指示に合わせて周期管理。味の落ち方が早いなら、水側の見直しを同時にやると根本解決に近づく。

除石灰の合図

ボイラー温度の回復が鈍る、湯の抜けが重い、スチームの腰が弱い。
そんなサインが揃ったら先延ばしにせず手を打つ。機械は正直だ。

サンマルコで再現する“イタリアの一杯”

サンマルコは温度・圧力の安定が強み。
だから水設定の差分が味にちゃんと表れる。
イタリア寄りに振りたいなら、原水が軟すぎる現場はミネラルを少し足してボディと粘度を確保。
反対に硬すぎるエリアはバイパス率を上げて中域に戻す。
ショットは9bar前後、温度は豆の焙煎に合わせて微調整。
深煎り×砂糖前提の設計なら短め抽出で甘苦を凝縮、中煎り×無糖狙いならやや長めで透明感を伸ばす。
水を味づくりの“最初のレシピ”として扱うと、再現性が一段上がる。

推奨“水プリセット”(一般論)

中域硬度+中性pH+中域TDSを基準にして、焙煎と配合で±小幅調整。
砂糖の有無、ショットの長短で最終着地を決めると迷いが消える。

 

よくある質問

Q1. 日本の軟水でイタリアの味に寄せるコツは?
ミネラル添加水を少量混ぜて中域の硬度とTDSへ寄せる。
粘度と甘さの芯が出て“バール感”が出やすい。
Q2. 硬度が高いとクレマは増える?
増える傾向はあるが、行き過ぎると渋みや鈍重感も同居。
CaとMgの比率、アルカリ度も一緒に見ると迷いが減る。
Q3. RO水はコーヒーに不向き?
素のままだと痩せやすい。
再鉱化で中域へ戻せば扱いやすい。
店舗はRO+リミネラライズ構成が現実解になることが多い。
Q4. スケール対策はフィルターだけで足りる?
原水しだい。
入口で抑えつつ、内部の定期除石灰と日次清掃を回す二段構えが安心。
味の再現性も上がる。
Q5. 家庭での数値管理は必要?
厳密計測が理想だけど、味と設備の変化を合わせて見るだけでも十分前進。
慣れたらTDSメーターや試験紙を足すと学習が速い。

 

まとめ

  • イタリアは硬め、日本は軟めが大枠。違いは“味の芯”に直結
  • 指標はセットで判断(硬度・pH・TDS+アルカリ度)
  • 家は簡易ブレンド、店はバイパスとログで“中域”をキープ
  • スケール対策は入口+内部の二段構えで安定運用
  • サンマルコは水設定の差分が乗りやすく、再現性を底上げ

 

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