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なぜイタリアで生まれた?エスプレッソの歴史と「バンコ文化」を一気読み

エスプレッソの歴史をイタリアの街角から辿る。
圧力抽出の誕生、マシン進化、メニューの由来、文化背景までをザックリ解説。

エスプレッソの歴史はどこから始まった?

エスプレッソの歴史を語るなら、産業革命後のイタリア都市部にフォーカスする必要がある。
1806年にナポレオンが発布した大陸封鎖令によりコーヒー豆が不足少ない豆で満足のいく味を求めて誕生したのがエスプレッソだ。

1901年にルイジ・ベゼラ氏が蒸気圧で抽出するエスプレッソマシンを開発。
その商標権をデジデリオ・パヴォーニが買取り後の1906年ミラノ万博でお披露目された。
当時はまだクレマはなかった。

1938年にルイジ・ガッジア氏によりレバー式エスプレッソマシンが提案される。
ここで初めてクレマが誕生した。

1961年にはファエマ社が現代のエスプレッソマシンの基礎となるE61エスプレッソマシンを発表。
それをベースに現在まで更に進化を遂げている。

バールとバンコ文化――エスプレッソの歴史を支えた生活圏

エスプレッソの歴史を押し上げた主役は、なんといっても“バール”。
バンコ(カウンター)でサッと注文と会計。
直ぐに提供されるエスプレッソを会話を楽しみながらサクッと飲んで立ち去る。
立ち飲み前提の回転の良さが価格を抑え、毎日飲む文化を定着させた。
友だちと挨拶し、ニュースをつまみ、1分で離れる。
そのリズムがマシンの設計思想にも反映される。
要は「速く・安く・旨く」。
バールがあったから、エスプレッソの歴史は家庭ではなくイタリア全土の街角で定着した。

エスプレッソマシンの歴史と圧力9barの意味

マシンの歴史は、蒸気時代→レバー式→ポンプ式へと進化。
キモは安定した圧力と温度管理。
9bar前後の圧力で細かく挽いた粉が入ったバスケットにお湯が短時間で通って抽出。
圧力とコーヒーに含まれる油分が乳化してクレマとなって現れる。
クレマには濃厚に旨味を閉じ込めた液体のアロマに蓋をする役割もあり飲んだ時にはクリーミーな口当たりも楽しませてくれる。

  • レバー式:バネの反発力で抽出
  • ポンプ式:電動で安定抽出
  • PID等:ボイラー温度の精密化
  • デュアルボイラー、マルチボイラー:同時抽出や連続スチーム安定化、抽出温度の精密化
  • グラインド均一化:味わいを左右する根幹

圧力と温度の安定、グラインドの均一、抽出時間の制御、この三点が揃って初めて“イタリアが生んだエスプレッソの基準”に到達。
そこから初めて各々の味を調整して自分の味を出す。
お客のミオバールになってもらうためだ。

カプチーノやマキアートの歴史とメニュー誕生譚

カプチーノは修道士の頭巾に似ていたことからそう呼ばれるようになった。
ミラネーゼは皆カプッチョと言う。
マキアートは“染み(macchiato)”の名の通り、エスプレッソに少しのミルクで染みを付け少しだけ円やかに。

 

サードウェーブと世界拡張――エスプレッソの歴史が変えた味の基準

2000年代に入るとコーヒーサードウェーブが到来。
単一産地や浅煎りが注目され、エスプレッソも“重層感”だけじゃなく“解像度”で語られ始めた。
抽出比率(Brew Ratio)やTDSの管理で味作りは数値化され、独特のテクスチャーをもつ液体として再定義。
その結果、アメリカ西海岸や北欧の感性も混ざり、世界共通の言語が生まれた。
歴史はローカルからグローバルへ。
街角の一杯は、いまや世界の共通体験だ。

豆ブレンドの背景――ロブスタ種/アラビカ種とエスプレッソの歴史的折衷

エスプレッソの歴史には、豆の事情も濃く刻まれてる。
アラビカ種主体で香味を築きつつ、クレマやボディを狙ってロブスタ種を少量ブレンド、なんて定番設計があるのは、価格・入手性の折衷から。
昔は焙煎の安定度もいまほど高くなく、ブレンドで振れ幅を吸収した背景も見逃せない。
いまはシングルオリジンでも美味しいが、クラシックな“バールの一杯”を再現したいなら、ロブスタ種少量の妙味も試す価値アリ。

FAQ(5)

Q1. エスプレッソの歴史で“正解のレシピ”はいつ確立した?
A. 何年と断言は難しいけど、ポンプ式と温度制御が普及した段階で今の基準にかなり近づいた、というのが実感。
Q2. 9bar以外でおいしくならない?
A. なる。豆・焙煎度・バスケットによって最適圧は揺れる。9barは“便利な基準値”。
Q3. クレマが厚いほど歴史的に良いショット?
A. NO。厚さより香りの保持とテクスチャー。味が決まっているかどうかが重要。
Q4. ロブスタ種混ぜると苦くなる?
A. 使用するロブスタ種で大きく変わる。品質の高いファインロブスタ種を使うと使用比率が高くてもネガティブが出にくい。
Q5. 家庭用でも“バールの一杯”に近づける?
A. 良い品質の豆とグラインダーを用意すれば可能。抽出は練習次第。

まとめ

  • エスプレッソの歴史は“コーヒー豆不足”から始まり、バール文化が味を磨いた
  • マシン進化は再現性の獲得の歴史。圧・温度・挽き目の三点同調が要
  • メニューは“柔軟性も大切”。シーンに合わせて選びたい
  • サードウェーブで解像度の時代へ。数値管理が味づくりの共通語に
  • ブレンドは味の安定装置。クラシック再現ならロブスタ種少量も選択肢

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