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深煎り豆でも酸っぱくなる理由とは?失敗を防ぐエスプレッソセッティング

こんにちは!サンマルコの毛利です。

普段からエスプレッソマシンに触れていると、「深煎り豆なら苦味が強いし、酸味なんて出ないんじゃないの?」といった質問をよくいただきます。

ところが実際には、深煎りのはずの豆を使っているのに「なんだか酸っぱい……」という仕上がりに悩まされる人も少なくありません。

この「深煎り豆なのに酸っぱくなる」現象、じつは抽出設定や挽き目など、さまざまな要因が重なって起こるんですね。

私自身も最近の商談の現場で、深煎りの豆を使っているにもかかわらず「すっぱプレッソ」と呼びたくなるような酸味の強いエスプレッソに遭遇する機会がありました。

せっかくのマシンも豆も、条件を間違えると残念な味になってしまう。

そこで今回は、深煎り豆でも酸っぱくなる理由を掘り下げながら、失敗を防ぐためのエスプレッソセッティングについてお話しします。

 

なぜ深煎り豆なのに酸っぱくなるのか?

抽出時間が短すぎる

エスプレッソはよく「25〜30秒ほどで30ml前後抽出する」といわれます。

浅煎りや中煎りに比べ、深煎りは苦味やコクが強いのが特徴ですが、抽出時間が短すぎるのも問題。「本来出てくるはずの苦味や甘み」が十分に引き出されません。結果として、尖った酸味だけが前に出てしまい、思わず「すっぱ!」となってしまうわけです。

実際の現場でも「秒数をしっかり守れていない」というケースは多いもの。

豆の挽き目が粗すぎて湯の流れが早かったり、セミオートマシンの設定が合っていなかったりすると、びっくりするほど簡単に「酸っぱプレッソ」へと転落してしまいます。

深煎りでも油断は禁物。まずは抽出時間をきちんと測り、25〜30秒前後で収まるように調整しましょう。

挽き目が合っていない

豆の挽き目はエスプレッソの要。深煎り豆はもともと油分が多く、色も黒っぽいので「挽き目をどの程度に設定するか」によって湯の通り具合が変わります。

私が同じ深煎り豆を使って別々の挽き目で抽出してみたところ、ほんの少し粗めにしただけで抽出スピードが速くなり、スカスカで酸味の強い仕上がりになりました。

一方、挽き目を細かくしすぎると逆に詰まってしまい、苦味が前面に出過ぎたり、マシンに負荷がかかったりすることもあります。

ポイントは「25〜30秒で30mlでる挽き目」を探すことです。

朝イチで一度試しに抽出してみて、秒数や液量をチェック。

・酸味を感じるなら挽き目を細かく
・苦味が強すぎるなら少し粗くする

など、その日の湿度や温度を考慮しながら微調整するのが理想です。

豆の鮮度が落ちている

深煎りだから長期保存できるわけではありません。とくにエスプレッソで使う豆は、焙煎してから日数が経つほど酸化が進み、風味が劣化します。

焙煎後しばらくは苦味と甘みのバランスが良かったのに、いつのまにか尖った酸味が目立つ……なんてことも珍しくありません。深煎りは油が表面に浮き出てくるぶん、空気と触れ合う面積が増えやすいので要注意です。

私が現場で見ていても、焙煎してから1週間以上経過した豆や、開封したまま放置されて酸化が進んだ豆を使っているお店は意外に多いです。

せっかく高品質の深煎り豆を仕入れても、鮮度管理を疎かにすると「なぜか酸っぱい」と感じる原因になってしまいます。

 

酸味を抑えるためのエスプレッソセッティング

ここからは、深煎り豆を使うときに押さえておきたい具体的な設定やポイントを整理します。私が商談で話題にした内容や実際にカフェの現場で感じたことを交えながら紹介します。

抽出秒数と液量の目安は守る

先ほど触れたように、エスプレッソの基本は「25〜30秒前後で約30mlの液量(ダブルなら60ml)」です。これが大前提といえます。

セミオートマシンならプログラムで抽出量を設定しているケースも多いですが、「豆の挽き目が合っていないと秒数内にその量が出ない」ことがあるので要チェック。レバーマシンの場合は、タイミングを見ながら手動で戻す必要があるため、より繊細な操作が求められます。

もし抽出が早すぎるなら挽き目を細かくしたり、豆の量を増やしたりといった対策を。一方、長すぎるなら挽き目を少し粗くするなどの調整が必要です。

朝イチの調整を欠かさない

深煎り豆は油分が多いぶん、日によって挽き目の感触が変わりやすく、味のブレも出やすいです。

私が現場で印象深かったのは、同じ豆・同じマシンでも気候や湿度で“適正な挽き目”が微妙にズレるということ。毎朝まず試し抽出をして、酸味や苦味のバランスを確認する方が、結果的にはコーヒーロスを防げるケースも多いんです。

「面倒くさそう……」と思われるかもしれませんが、いったん慣れてしまえば数杯分の豆を使って微調整するだけの作業です。

特にカフェを経営している方なら、朝イチのセッティングでその日のエスプレッソのクオリティが安定するわけですから、ここを適当に済ませるのはもったいないですよ!

豆はこまめに使い切る&酸化を防ぐ

深煎り豆の酸化は「すっぱさ」の原因になりやすいです。そのため使用量と在庫をうまくコントロールし、なるべく新鮮な状態を保つことが理想です。

可能なら焙煎所や自家焙煎で頻繁にロットを回し、常に数日〜1週間以内の焙煎豆を使いたいところ。袋を開けたら密封容器に入れる、直射日光を避けるなど、基本的な保存方法を徹底するだけでも酸味の増幅を防ぎやすくなります。

 

大手は割り切る?それとも味を追求する?

ちなみに大手のコーヒー業者やチェーン店は、管理しやすさやコスト面を重視し、ある程度味を平均化して運用している場合が多いです。

抽出時間や挽き目の微調整が必要だと、スタッフ全員のオペレーションを統一するのも大変ですからね。

とはいえ、ここが差をつけられるポイント。個人でカフェを開業するなら、その細かい調整こそが店の魅力になるとも言えます。

実際、商談の中でも「大手で扱う豆をそのままセッティングすると、どうしても酸っぱさが出てしまう」「チェーン店のようにマシンの設定を固定したままだと限界がある」という話題が出ました。

だからこそ豆や焙煎度、抽出設定にこだわるお店が増えているのも事実です。

 

美味しいエスプレッソを、正しい方法で。

深煎り豆を選んだからといって、自動的に「苦味ばかりのエスプレッソ」ができるわけではありません。むしろ挽き目や抽出時間、豆の鮮度次第で、驚くほど酸っぱくなってしまうことだってあるんです。

逆に言えば、そのあたりを適切に調整するのがコツ。

本来のコクや深い甘みを引き出し、まさに「どっしりとしたエスプレッソ」に仕上げることができるということです。

  • 抽出時間(25〜30秒前後・約30ml)を守る
  • 挽き目を日々微調整する
  • 豆の鮮度を落とさないように管理する

これらのポイントをしっかり押さえたうえで、最終的には自分の好みの味を探究していくのがエスプレッソの醍醐味です。

いつもの深煎り豆が、ほんの少しの設定変更だけで見違えるほど美味しくなることも珍しくありません。皆さんもぜひ、「深煎りだから苦いだけ」という先入観を捨てて、酸っぱくならないエスプレッソを追求してみてくださいね!

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